GoogleドライブとGoogle利用規約

Googleドライブがリリースされることになって、例の統合されたGoogle利用規約が注目されています。
問題となっているのは、「本サービス内のユーザーのコンテンツ」のセクション。
日本語版はこちらを参照してください。
この規定を分解すると、
1 ユーザーが本サービスにコンテンツを提供すると、
2 ユーザーは、Google及びGoogleと協働する第三者にそのコンテンツについて、以下の行為を行うための全世界的なライセンスを付与することとなる。
ⅰ使用 ⅱホスト ⅲ保存 ⅳ派生物の作成 ⅴ(公衆)送信 ⅵ出版 ⅶ公演 ⅷ上映 ⅸ(公開)表示 ⅹ変換
3 ユーザーがGoogle等に付与する権利は、本サービスの運営、プロモーション、改善、および、新しいサービスの開発に目的が限定される。
4 ユーザーが本サービスの利用を停止してもライセンスは有効に存続する。
5 本サービスの一部では、ユーザーがサービスに提供したコンテンツにアクセスし、それを削除する方法が提供されることがある。
6 本サービスの一部には、サービスに提供されたコンテンツのGoogleによる利用範囲を狭める規定又は設定がある。
7 本サービスに提供するコンテンツに、このライセンスをGoogleに付与するのに必要な権利を保有していることを必ず確認されたい。
このうち、今回特に問題視されているのは、1、2です(長いので折りたたみます。


ここで「本サービス」というのは、規定によれば、Googleの製品およびサービスをいうようです。
これに対して、「コンテンツ」は、規定に定義がありませんが、旧利用規約によれば、
本サービスの一環として、または本サービスの利用を通じてアクセスできるすべての情報(データ ファイル、テキスト、ソフトウェア、音楽、音声ファイルまたはその他のサウンド、写真、映像またはその他の画像等)を「本コンテンツ」と表現しており、これを踏襲するのかもしれません。
また、「ライセンス」は、本セクションの冒頭に、ユーザーの知的財産権に関する一文を置いていることから考えて、知的財産権全般に対する使用許諾を言っているのだと思われます。
上記のような旧規約による「コンテンツ」の定義では対象情報を限定できませんが、「提供」の文言の中に、Googleドライブのような、ストレージに保管することは含まれないものすれば、「提供」していないということで、同セクションの適用を受けない(すなわち、GoogleはGoogleドライブ内のユーザーのファイルを利用できない)ことになるのではないかと考えます(デジタル大辞泉によると、「提供」とは、「金品・技能などを相手に役立ててもらうために差し出すこと」であって、Googleの保管に任せているだけなら「提供」とはいえない)。法律的に考えても、例えば、単に物を預けて保管する寄託で、受託者に物を提供するとはいいません(なお、物ではない情報には所有権が観念できないので、情報を預けても寄託にはなりません)。
ただ、Gmailの場合、「ヘルプ>セキュリティとプライバシーポリシー」で入ったところの、下欄の「利用規約」を開くと、法的通知(Legal notice)というページがあり、そこには、「Google は、テキスト、データ、情報、画像、写真、音楽、音、動画、その他の素材を含め、ユーザーが Gmail アカウントでアップロード、転送、または保存したコンテンツに対する所有権を主張しません。本サービスでユーザーに提供する目的以外に、ユーザーのコンテンツを使用することはありません。」と書かれているのですよね。
「提供」にあたらないものが、適用外であれば、なぜこの規定を独立に置いているのか、そこもよく分かりません。
また、コンテンツを保管した場合の知的財産権保護の規定が、この条項の一文の「本サービスの一部では、ユーザーがコンテンツを提供することができます。ユーザーは、そのコンテンツに対して保有する知的財産権を引き続き保持します。つまり、ユーザーのものは、そのままユーザーが所有します。」しかないため、ドライブでの保存・保管が「提供」に当たらないと考えると、今度は、ユーザーがドライブ内で保存・保管しているデータの知的財産保護の規定がなくなってしまいます。そうすると、ドライブ内でのデータの知的財産権の所在は、規約によらずに法の解釈に委ねられることとなります。このような事態も、Googleが望んでいるように思われないのですよね。あちらをたてれば、こちらがたたず、のような状態。
このセクション全体が主に想定しているサービスは、おそらく、Google+やPanoramio,Picasa,Youtubeなど、公開前提でGoogleのサービスと一体となるような物を「提供」した場合なのではないかと思います。これを、サービスとしての性格が異なるドライブなどの規定にも使用してしまうので、規定自体がおかしくなっているのでしょう。さらに、ドライブの中身をGoogleが簡単に使用できてしまう(どころか勝手に公衆送信までできてしまう)ようなサービスでは、ドライブを使う人などいなくなってしまうでしょうし、そんなことをGoogleが望んでいるとも思われないので、勝手に使用されるようなことはないと思うのですが、一つの規定の中で相克が生じてしまっているように思われます。
長文の利用規約は読む気がしなくなってしまうし、サービス毎に利用規約があっても、何度も読みたくないのはよく分かるので、数少ない利用規約を、読む気がするくらい短くするというのは、良い試みだとは思うのですが、短ければよいというものでもない気がするのが、規約を読んでの感想です。やはり別々のサービスですし、特徴にあわせていくつか作るくらいはしても良かったんじゃないですかね。
と言いつつ、このブログの記事も相当長くなってしまって、皆さん読んでないかも知れませんが(^^;
なお、日本語版でいう「承認」は、英語版の利用規約では「submit」と表現されています。これは「提出する」「委ねる」「服従する」という意味で用いられるようですが、「提供」と訳して、同義になっているのでしょうか?
翻訳の段階で、原文とニュアンスが変わってしまったような場合、どちらが法的拘束力を有する規約なのかという問題が生じ得ますが、Googleの利用規約の場合、適用の主従が記載されていない以上、ユーザーがサービスの開始に当たり、読んだ利用規約が適用されるということになるのではないかと思われます。