各クラウド・サービス提供事業者のSLA比較

本日は,あずさ監査法人とCloud Security Alliance Japan Chapter(CSAJC)主催で,東京の神保町にて,「クラウド実装セミナー~コンプライアンス編~」が13:30から開催されました。
内容は,
14:00 – 14:30
クラウドコンピューティングにおけるSLAの法的意義・限界・問題点
  日本クラウドセキュリティアライアンス幹事 弁護士  高橋 郁夫
14:30 – 15:00
医療品・ライフサイエンス業界のクラウド利用とSLA
  日本クラウドセキュリティアライアンス幹事 薬学博士  笹原 英司
15:15 – 15:45
クラウド特有のリスク
あずさ監査法人 IT監査部 パートナー  塚田 栄作
15:50 – 16:45
パネルディスカッションとQ&A
となっており,クラウドの実装にあたっての検討事項などを実践的に行うセミナーで,今回はコンプライアンス編として開催されております。
私は,CSAJCの幹事をさせていただいているのですが,都合が合わず,出席できませんでした。
上述のセミナーの内容から分かるように,クラウドの実装にあたって,SLAの検討が重要になってくるわけですが,各CSP(Cloud Service Provider)毎のSLAを比較しておりますと,CSP毎に定めたり定めてなかったりする事項があったりとか,思わぬリスクが生じそうな条項(例えば,Amazonでは,30日前通知による無理由解約ができたりとか,Amazonによる一方的契約変更ができたりとかします)があったりとか,いろいろな発見があります。
また,ユーザーの責任やプロバイダの責任が不明確であったりとか,プロバイダの免責事項がかなり幅広かったりとか,契約内容や合意内容を見ないで安易にクラウド・サービスを導入することによる危険を改めて感じさせます。
各社の契約,合意の比較検討は,今後,体系付けて,更に行っていきたいと思っています。

情報ネットワーク法学会2011(於北海道大学)行ってきました。

北海道大学で開催された情報ネットワーク法学会第11回研究大会に参加してきました。
同学会は,毎年もう少し遅い時期に開催されるのですが,今回は北海道ということで,ちょっと早めの開催となったようです。
研究大会は,午前の個別報告と昼のポスターセッション,午後の基調講演,パネルディスカッションに分かれるのですが,午前の個別訪問は3会場で併行して,午後のパネルディスカッションは,2分科会で併行して行われるため,全てを聴講することはできないようになっています。
ただし,今回は,講演者の了解がとれたものについては,学会のサイトで動画を見ることができるとのこと。
私の聴講したのは,
個別報告
1 個人情報保護法違反を理由とする損害賠償請求に関する考察(板倉陽一郎弁護士)
2 情報システムにおける脱「自己情報コントロール」へ向けた試論(情報セキュリティ大学院大学情報セキュリティ研究科(博士前期課程)永野一郎氏)
3 オープンソースソフトウェアライセンスの現状と課題(静岡大学大学院法務研究科(教授)藤本亮先生,静岡大学大学院工学研究科(客員教授)杉本等先生)
基調講演では,
社会保障・税番号制度と番号法案
震災復興とICT(情報通信技術)
パネルディスカッションでは,
第1分科会「社会保障・税番号(マイナンバー)制度の意義と課題:
の順でした。
大阪の電子商取引問題研究会でお世話になっている壇俊光弁護士,森拓也弁護士,今村昭悟弁護士の「発信者情報開示請求訴訟における対抗言論の法理」もお聞きしたかったのですが,裏切ってオープンソースのほうに行ってしまいました(笑
ただ,動画が公開されるみたいなので,後でじっくり見させていただこうと思います。
壇弁護士の事務室
なお,講演中に,流れていたTWをまとめたものを用意しましたので,興味がある方はこちらをどうぞ。ツイートしてたのは,ほぼ私と川村哲二弁護士です(笑 二手に分かれてTWしたりもしていましたが,お陰様で,参加していないほうの個別発表や分科会の様子が分かって大変助かりました。
この講演中のツイートですが,聞きながら140字にまとめながら,ニュアンスを間違えないように,など結構大変だったりしますが,まとめる中で,かなり集中して講演を聴き,自分なりに内容を消化したりしているので,漫然と聞くよりも勉強になったりもしている気がします。
学会の研究大会は,講演そのものが大変勉強になるのですが,研究大会や懇親会で,この分野で活躍されている方とお会いし,つながることできることが一番の意味だと思います。地元にいるだけでは知り合うことの出来ない人たちとしっかりつながること,ネットやSNSも大切ですけど,実際に顔を合わせることって,やはり大切です。
研究大会の前後で,お会いし,お話をさせていただいた皆さん,本当にありがとうございました。今後ともよろしく御願いいたします。
追伸:講演を聴いていて思いましたが,やはり来年はまた発表側に回りたいですね。

Steve Jobs永眠

Appleの全CEOであるスティーブ・ジョブズが亡くなったというニュースが今朝入りました。
私はMac派ではなく,スティーブ・ジョブズのことを知るようになったのも最近のことなのですが,先日,学会の発表に際し,「脅威のプレゼン」という彼のプレゼン術に関する本を読んで感動を覚えたこともあり,記事を書き留めておこうと思いました。
いまや,iphone,ipadを始め,それほどパソコンに詳しい人でなくても,Appleの製品が普通に使われていますが,私がパソコンを始めた頃は,マッキントッシュといえばグラフィックなどをやっている人の特殊なPCというイメージがあり,取っつきにくい印象でした。
 iMac以降,がらりとイメージが変わり,普通の人がMacを使うようになったのが印象的でした。
スティーブ・ジョブズは,創業以来,常にAppleで安定した地位にいたわけではなく,それどころか時にはAppleを追われたりもしました。Appleというパソコンメーカーにおいて,電話であるiPhoneや音楽プレイヤーであるiPodなどの畑違いともいえそうな分野に次々と活動の幅を広げ,そのたびにイノベーションを起こしていく,膵臓ガンをわずらいながらも,死の数ヶ月前までAppleのCEOの座に有り続けました。
ITの世界には,ビルゲイツ,マークザッカーバーグ,Googleのラリー・ペイジ,セルゲイ・ブリンなどスティーブジョブス以外にも有名人はたくさんいますが,スティーブジョブズほど人々に愛されている人はいないのではないでしょうか。
彼は,彼の開発した数々の商品とともに,これからも人々の記憶とともにあり続けると思いますし,ユーザーの製品への愛は,そのまま彼への愛となっているのではないかと思います。
早すぎる死ですが,充実した,尊敬すべき人生だったと思います。
彼のような人生は望むべくもありませんが,いずれにしろ,人の人生の時間は限られたもの。時間を大切に,色濃い人生を送りたいものです。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

法とコンピュータ学会学会誌「法とコンピュータNo.29」

先日,法とコンピュータ学会から学会誌が届きました。
学会のページには,まだ学会誌の情報が載っていないようですね。
まずは,昨年の研究会テーマであるネットワーク社会における青少年保護に関する各講演者の論文と,パネルディスカッション。
ネット上の青少年保護というと児童ポルノ,児童買春がすぐ頭に浮かびますが,これに止まらず,オンラインゲームにおけるRMT(リアルマネートレード)の問題,違法有害情報規制,これに関連した非実在犯罪の問題にも言及し,その手段としてのフィルタリング,ブロッキングなどについても検討が行われています。
法律実務家向けの情報としては,ニフティの丸橋透さんの「『青少年有害情報』と民事責任」,児童ポルノに関して,ブログ「奥村徹弁護士の見解」でおなじみの奥村徹先生による「ネット上の児童ポルノに関する擬律の混乱(sexting・ファイル共有・リンク)が参考になります。
 奥村弁護士の研究報告では,大分地方裁判所での強制わいせつと児童ポルノ製造罪を併合罪とした事例が紹介されております。大分県弁護士会に所属する弁護士として,地方にいても,無知だとは言っていられないなと思った次第です。
このほか,松田政行先生によるインターネットの進展により生じた著作権法上の論点がコンパクトにまとめられた特別寄稿,小グループ研究会から,濱野敏彦先生,ISACA(情報システムコントロール協会)東京支部の下道高志さん(日本クラウドセキュリティアライアンスの活動でお世話になっています),による技術面からのクラウド・コンピューティングに関する各考察,三瓶徹先生による電子出版史上の現状と課題など,IT法務関係での今注目の論点が収録されています。
学会誌は,法とコンピュータ学会の事務局で購入することができます。
なお,今年の法とコンピュータ学会の研究会は,学習院大学にて平成23年11月12日(土)に開催され,テーマは,仮案として,ネットワークビジネスの現状と法律問題,東日本大震災,とのことです。
東日本大震災について,情報ネットワーク法学会では,ソーシャルメディア中心,法とコンピュータ学会では,事業継続性中心に講演を行うようですね。

東電OL事件

最近、度々報道されている東電OL事件、皆さんご存じでしょうか。
東京都渋谷区のアパートで女性が殺害され、その容疑者としてネパール人のゴビンダさんが逮捕、起訴され、無期懲役の判決を受けた事件です。

昨年、足利事件という再審無罪の事件がありましたが、東電OL事件も、足利事件と同じく、DNA鑑定の結果が有罪認定のために大きな役割を果たしている事件であり、当時のDNA鑑定の結果について疑問が呈されている事件でもあります。
私は、司法修習時代、弁護修習の指導担当にあたってくださった先生に、この事件の再審を検討する会議に参加させていただいていたこともあって、このニュースに触れて、当時なかなか最新の扉を開くことは難しいが、それでも前を向いて頑張ろうとおっしゃっていた先生方の会議でのお顔を思い出しました。
また、ここまで、頑張ってこられた支援団体の方々、再審の活動をしてこられた先生方、そしてなにより被告人であるゴビンダさんのこれまでの並々ならぬ努力を思い、感嘆しています。
DNA鑑定は、まだ日本の捜査に取り入れられて日が浅く、その当時分からなかったことや、当時誤った鑑定結果がでていたことなどが、技術の進歩により判明する事態が次々生じています。
最近のDNA鑑定を巡る事件を見ていて、ややもすれば、その内容に深く踏み込むことなく結果を盲信してしまいそうな最新技術と当事者の人生を左右する司法とのあり方について、改めて考えさせられます。
無実のゴビンダさんを支える会

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