ホームページ・リースの「被害」とは何か(前編)

 前回は,ホームページ・リースが,ファイナンシャル・リース契約の仕組みを使っていること,パソコンやソフトウェアのリース契約に付随するサービスとして,いわば抱き合わせ販売のような形で,ホームページ作成業務,SEO業務の提供が設定される形で契約が締結されることが多いことを述べました。※1 ※2
 では,ホームページ・リース契約による「被害」とはなんでしょうか。
 ホームページ・リース契約の問題点は,
(1)リース契約を使用しているということ
(2)リース目的がホームページ作成業務であること,
の2点から生じます。
 今回は,そのうち,(1)について以下に述べたいと思います。
 いわゆるファイナンシャル・リースの定型契約書式には,その条項中に,(1)瑕疵担保責任※3を免除する特約
(2)ユーザーからの解約ができないとの特約
が規定されています。
 要するに,(1)リース物件に普通気がつかないような傷があっても,リース会社は責任を負いません,(2)ユーザー側からリース契約中に解約することはできません,ということです。
 通常のユーザーが事業者などの場合の物品のリース契約の場合,リース会社はユーザーが希望したものを,サプライヤー(リース物件の供給者)から購入して提供しているだけなので,傷があったからといって責任を負わされたり,途中で簡単に解約されてしまったりすると,リース会社のリスクが重くなるため,このような規定にも合理性があります。
 問題は,ホームページ・リースの場合,本当の目的は継続的な役務の提供が必要なホームページ作成・更新業務ですが,作成業者がこれが全うしなかった場合でも,瑕疵担保責任に基づく解除や中途解約ができないことです。
 一番困ったことになるのは,HP作成会社がつぶれてしまい,ホームページの更新や,SEO対策が全くできなくなったにも関わらず,リース契約自体は残ってしまったような場合です。
 この場合,ユーザーは,作成会社がつぶれてしまっていることから,本来期待していたホームページ作成業務は全く行ってもらえず,リース契約の存続期間中,リース料を支払うことを余儀なくされてしまいます(リース料を支払わないと,リース会社から残存期間分のリース料と遅延損害金の一括払いを請求されたりします。)
  また,ユーザーとリース物件を供給する会社との間には,ファイナンシャル・リース契約の法的性質上,直接の契約関係が存在しないので,法の原則からいえば,供給業者に対して,ユーザーは契約上の責任である債務不履行責任を追及できないことになります。
 このように,リース契約において,ユーザーは,かなり不安定な地位に置かれることになります。 
※1 なお,ホームページ作成会社が,契約がリース契約であることを黙って,内容がよく分かっていないユーザーに契約をさせてしまうこともあるので,ホームページ作成業務契約をする際には,どんな契約を締結しているのか,面倒でもしっかりチェックすることが大切です。
※2 ソフトウェアが実際には供給されていないこともあります。また,ソフトウェアやパソコンなどの値段に比べ,リース料合計額が法外な値段であることもよくあります。
※3 目的物に取引時に隠れた瑕疵,すなわち取引通念上,通常の注意をしていては気づかない傷などが目的物にあったような場合に目的物を渡した側が負う責任で,これが認められると目的物を受け取った方から渡した方へ損害賠償を請求したり,契約の目的を達成することが出来ないような場合には,契約を解除したりすることができます(民法570条,566条参照)。